身近なところで使われている人工知能

私は、コンピュータグラフィックス(CG)やユーザインタフェース(UI)といった分野の研究者です。大学教員として学生さんたちの講義を担当したり、研究を一緒に行ったりしています。

CGはこの10年、20年でとても身近になってきました。初のフル3次元CG長編映画である『トイ・ストーリー』が登場したのが1995年。あっという間に映画やテレビでCGが使われるのは当たり前、家庭用ゲーム機やスマホゲームにまで3次元CGがサクサク動くような時代になりました。そんなCGを「見るだけ」「プレイするだけ」ではなく、初心者でもCGを制作したり、使いこなしたりするための技術などを研究しています。

さて、このコラムでは「人工知能」に焦点を当てていきたいと思います。人工知能、AI(Artificial Intelligence)と言われたらどんなことを思い浮かべますか? 何も遠い世界のものではなく、人工知能はとても身近になってきています。

例えば、日頃わからないことがあるとみなさんは「検索エンジン」で検索しませんか?検索エンジンにも人工知能が搭載されています。Google の検索エンジンでは、世界中のたくさんの人たちが検索した言葉・情報を使って学習し、検索ワード同士の関連性を学んでいきます。膨大な情報量の中から、検索した人が欲しい答えを素早く提供することができるような仕組みになっています。

また、音声入力も使っている人は増えているのではないでしょうか。Apple Siriも人工知能を使って音声入力を快適なものにしています。私が街中を知人と歩いていたとき、知人が「コンビニ」とスマホにつぶやきました。地図アプリが表示され、自分の現在地と近くのコンビニが表示されていて、「近いのはここみたい」と教えてくれました。そんな街中の雑踏の中で、声を聴いて音声認識することができるのは人工知能のおかげです。

LINEアカウントのAI「りんな」のような、「ちょっと聞いたら答えてくれる」ようなQ&AにAIを使っているサイトやアプリも増えてきました。

さらに家事を快適にするためにも人工知能が使われています。お掃除ロボットの「ルンバ」は、内蔵されたセンサーによって障害物を避けながら部屋を掃除します。また、掃除を繰り返すうちに部屋の間取りや家具の配置などをデータとして記憶していきます。そして、そのデータをルンバ自身が処理を行い、同じ場所を通らずに、効率的に掃除を行い、掃除終了後は、充電器のある位置まで戻っていきます。

囲碁の人工知能「AlphaGo」もとても話題になったので覚えている方も多いのではないでしょうか。オセロや将棋だけでなく、手数がはるかに多い囲碁においても人工知能が人間を超えました。

このように「人工知能」といっても研究段階の遠い世界の話なのではなく、一般の人々にとって身近なものになりつつあり、まさに10年後、20年後には私たちの生活の中でなくてはならないものになっていることと予想されます。

そんな身近になってきた人工知能。近いうちに、今ある職業のうちのいくつかは人工知能が担うだろう、といったニュースもたびたび目にします。そんな時代に生きる私たちは人工知能の進化に脅かされるのではなく、「どのように人工知能を使いこなすか」を考えてみる必要があるでしょう。

この記事は「dl4motion」からの転載です。

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